キッズ・リターンのはなし

ゼミで映画鑑賞会をして「キッズ・リターン」と「死刑台のエレベーター」を観ました。うち、キッズ・リターンのほうのみ書きたいことがあったのでメモがてら。ごちゃごちゃ注意。


まず観終わって最初の感想が以下

「好きか嫌いかと言えばきらい。音楽はあんまり合ってない気がするけどリズム感はある映画。カメラの視点推移がなんとなく好きだった」


で、もうちょっと考えてみると、あれは音楽のような映画だったのだと思う。
固定していたところから人物が現れてその動きを追っていたかと思うとふいにそれをやめて人物だけがスタスタとフレームアウトしていくというカメラの映し方はベースに主題が乗っかるみたいで、切り替えタイミングで主題楽器が変わるかんじ、スタッカートの効いたピコピコBGMとリズミカルなSE(とくにボクシングの練習シーン)がパーカッション。
…音楽のような、とはいってもここまでのことだけで、しかもかなりばらばらなこと言ってるね。ただ音はもちろん、校舎とか道とかの視覚的反復、シーンの変奏からできる映画としてのリズムは感じられると思う。「暴力が引き起こすリズムをもってその寡黙な物語を引き立てながら先に展開させていく」っていうのにもなるほどと思いました。
シンジの静けさとBGMのニギヤカさが観ていてウーンとなったのだけど後からよくよく考えると意図あってのことだったのかしらん。それで考えるとお笑いコンビのふたりはアクセント的に使われていた気もしないでもない。

それから第一印象でなにがきらいかというとお話のほうで、括ってしまうとともに落ちてしまった主人公二人は「終わっちゃったのかな」「始まってもいねーよ」(劇場版銀魂のパロ元ですね)と言いつつなにかができるのか(しかもなぜマサルがえらそうにこんなこと言うのか)、ハッピーエンドのような終わりだったけどそこにはもう希望も青春もない気はした。きっとこの後「はじまり」らしいそれはないだろうなあと。
それは彼らを見る大人たちがあまりにも冷ややかだからかもしれない。

ついでにどうでもいいことですが、カツアゲされてる学生とチンピラ三人組のうちロンゲじゃないふたりがまざってよくわかんなくなりました。
計り屋(だっけ?)でぼそぼそしてたふたりとか、タクシーで事故ったガラスに開いた丸い穴もよくわからんくてあれあれってなってるうちに終わってしまった…


ちな、死刑台のエレベーターのほうはジュリアンのアホの子っぷりとジュテームのフランス感とベロちゃんがかわいいのくらいしか印象に残らず。ジュテーム。